ケータイ小説 野いちご

わたし竜王の番(つがい)です  ~気が付けば竜の国~

桜色の鱗
バスルームの謎のもの


何だろう、これ。

バスルームの鏡に貼り付いた1枚のハート型をした薄くて半透明なもの。

破れてしまわぬようにゆっくりと剥がしとり、指先でつまんでライトにかざすときらきらと虹色に輝いている。


2センチほどの大きさの縦長のハートでほんのり桜色。
プラスチックというよりはかなり大きな魚の鱗みたい。

スパンコールでもないし、
・・・どう見ても鱗?


くんくんと香りを嗅いでみると、生臭くない。臭くないどころかいい香りがする。

やっぱり魚の鱗じゃないみたい。

何なの。
何だか幸せの香りのよう。
お日さまみたいで気持ちが温かくなってきて胸の奥というかおへその裏のあたりがそわそわとする。

不思議なものを手にしぼーっとしていると、「秋月さーん」と私を呼ぶ声がドアの外から聞こえて我に返った。

しまった。
仕事中にボーっとしちゃった。

私は手の中にあった鱗のようなものを丁寧にハンカチに包んでポケットにしまい慌てて「シェリルさん、ここでーす」と返事をした。



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