ドンッと花火が上がる音がした。
廊下から綺麗に見えた…
「耕、花火、綺麗だよ…」私は途切れ途切れ言った。
「何、呑気なことを言ってんだよ!」と私は耕に怒られた。
「もう、無理だよ…傷、酷いんでしょ?一緒に、花火、見よ?」私は、言った。
わかってる。自分の傷がどんなに酷いか…
河野の所為で、病院になかなか近付けない、兄弟がいることも…
「諦めないでくれ…」花火が上がる中、血だらけの手で、懸命に止血してくれる耕。
「耕…お願い…聞いて…」私は遠のきそうな意識の中、耕に呼び掛けた。
「わかった…」耕は、涙を流しながら、手を止めてくれた。
「花火、見よ?」私が言うと、耕は私の隣に来て、花火を見た。