ケータイ小説 野いちご

DARK&COLD −月のない夜−

真夜中の訪問者






国吉くんは女子寮の入り口まで送ってくれた。
落ち着くまでもう少し話そうか、と気を遣ってくれたけれど、お礼だけ言って断った。



部屋に一人の夜は、やっぱり寂しくなってしまうもの。
二段ベッドの上の段で、天井を見つめながら今日のことを思い出す。



美月ちゃんたちは、先に帰ったことを不思議に思っただろう。
次に顔を合わせるときは、きちんと謝らないといけない。




──────“いるはずのない人間”

国吉くんの言葉が浮かんでは消えていく。



響平は2年前に、死んだ……ことになってる。

あの街に買われた。



その2つの情報だけでは不十分。
繋げ合わせてみてもピンとこない。



“人を買う”ということ自体、非現実的すぎて受け入れられないのに、その上、“死んだことになっている”……だなんて。



もしかすると、裏社会では珍しくない話なのかもしれないけれど、ずっと普通の世界で生きてきた私は「信じられない」以外の言葉は出てこなかった。



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