――キーンコーン。


一時間目の授業終わりのチャイムが鳴って、ざわざわと話し声で賑わう教室。


私はクラスメイトの明日香(あすか)ちゃんと、黒板の近くで立ってお喋りをしていた。


「そういえば、小夏(こなつ)に貸してもらったマンガ全部読んだよ!」


「え、ほんと?」


「うん! 超キュンキュンして面白かった!」


うっとりした顔で語る明日香ちゃんを見て、思わず笑みがこぼれる。


彼女、新田(にった)明日香ちゃんは、肩までのボブが似合う、明るくて気さくな性格の優しい子。


高校に入って一番最初にできた友達で、今では毎日のように一緒に過ごしている。


「よかった。あの話いいよね。私も大好きなんだ」


「うん! ああいうの読んでると、なんか自分も恋したくなっちゃうね」


二人でワイワイ話しながら、マンガの話で盛り上がる。


休み時間は、こうやって友達と話していると、あっという間に終わってしまう。


だけど、そんな他愛ないおしゃべりが、今の私にとっては何より楽しいんだ。