『名門』とはこういう事なのだと、一目見て分かる。グランサム公爵の領地屋敷(カントリーハウス)はそういう建物だ。

華美ではないが重厚な門扉とそこから遥か遠くにある荘厳な建物。歴史を感じさせるが古びた感じは与えないし、ずっと昔に流行ったジョージアン様式なのに古臭さは感じない。代々きちんと管理、運営していた証明でもあるのだろう。

「……圧倒される、わね」

あんぐりと口を開けるのだけはどうにか防げたけれど、呆然と立ち尽くすのだけは止められなかった。
目の前には執事を始めとした使用人の人々が出迎えの為に並んでいるのだから、レディとしては何食わぬ顔をして屋敷に入っていくのが正解なのだと分かっていながら。