「そ、その……見た目は確かに派手だけど、中身はまじめっていうか。部活も熱心にがんばってるし」

「……痴漢から助けてくれたし?」


からかうように言うミーナを、小鳥が眉を下げながらたしなめる。


「知ってるよ。高橋くんは他の男子とはちがうって言ってたもんね」

「うん。高橋くんは下心とかなく、人に親切にできる人だと思う」


最近小鳥は引っ越しをして、同じ通学電車に乗ることはなくなったけど、前は同じ駅から乗って毎日満員電車に揺られていた。

すし詰め状態の車内で、私はいつも小鳥を守るようにドア付近に立っていたのだけれど、ある時痴漢にあったのだ。


私みたいな大きな女を狙う痴漢なんてそういないから驚いた。

でもすぐに、本当は小鳥を狙っていたけれど、私が邪魔をしているから標的を変えたんだと気づいて、腹が立った。

こんな場所でも男はか弱い小鳥を狙うのかって。

本当に、理性のないただのケダモノだと殺意すらわいた。