「うめぇよ。」

そう言って笑った飛鷹はとても悲しそうに見えた。なんで?ねぇ。好きな女の子からチョコレート貰えなかったとか?

飛鷹。ずっと私が片思いしている男の子。かなりのニブチンで私が恋愛相談という名目で飛鷹の特徴を何個上げても気づく素振りを全く見せない男。

それでも好きだなんて、参っちゃうよ。


『ブラウニー作ってみたの。』

そう言った時に。


「怪我、しなかったか?」

この言葉を貰えて私がどれだけ嬉しかったか分かる?だけど何となく恥ずかしくて、今更素直になることは難しくて、

『してないよ!もう、飛鷹はお母さんみたいだなぁ。』

軽口を叩くようにそう伝えてしまった。

なんでよ、私のバカ!違うの。本当は、心配してくれてありがとうって伝えたいのに。

「母親じゃねぇよ。心配くらいするだろう。だって幼馴染なんだから。」

そう言って笑顔を貼り付けた飛鷹に今度こそ心が抉られるかと思った。