「わぁ。
 朝から焼き魚が食べられるなんて贅沢。」

「そう?そんなに喜んでもらえるなら帰りに買い物へ寄った甲斐があるな。」

 西京焼きに、浅漬け、それにお味噌汁。
 品のいいお出汁の味が体に染み入る。

「今日、デートしないか?」

「で、デートですか?」

 私の狼狽ぶりにフッと息を漏らした。

「恋人になったのに、恋人らしいことしてないなと思ってな。」

 紆余曲折ありながらもお互いの気持ちを伝えあってから、実はキスもおろか、会話するのでさえも久しぶりだ。

「嬉しいです!!」

 多分、私に尻尾がついていたら振り切れんばかりに振っているだろうな。
 目を細めて私を見る俊哉さんと目が合って、恥ずかしくて目を逸らした。

「なら、準備してこい。
 片付けはしておくから。」

「でも……。」