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ーーーあの日から、私を取り巻く事態は一変した。






『…ねえ、聞いた?杉久保選手の全国大会でのケガ!』

『聞いた聞いた。マークを振り切った際に、相手チームの選手と接触したって話でしょ?』

『前十字靭帯断裂だって。手術したらしいよー?U-15も辞退したって!』

『U-15どころか、高校入学にだって間に合うかどうか…』





大丈夫。大丈夫だよ?

手術して、リハビリすればまたサッカー出来るようになるって?




大丈夫…。




『そうだな!大丈夫だな!星月ならケガなんてすぐに治してまたサッカー出来るようになるさ!』

『星月なら大丈夫だ!』





大丈夫…?




『うん!大丈夫だよ!だからみんな心配しないでね?』




…じゃない。

大丈夫じゃない、ホントは。




『ケガが治れば、星月ならまた活躍出来るよ!大丈夫!』

『そうだね!大丈夫だね!』

『うん!大丈夫だよ、私は』




大丈夫。大丈夫。




…でも、その『大丈夫』を口にすればするほど。

強がれば、強がるほど。

自分の中の何かがガラガラと崩れていく。