「・・・どうやって逢いに行く」

 だけど冷ややかな声がわたしを黙らせた。 
 
「真下さんと取引して訊き出す気か? 見返りに何をくれてやるんだ」

 津田さんが続けた言葉に息を呑む。

 どうして。
 心臓が音を立てて震えた。 

 見透かされてるの。 
 わたしは茫然として彼を見つめる。

「小動物の脳ミソと一緒にするな」

 心の中を読んだみたいに津田さんは冷めた目で一瞥をくれた。

「やめとけ。どうせ無駄になる」

 無駄・・・って。

「どういう」

「そのままの意味だ。・・・諦めるんだな」

 
 遮るように言ったきり。津田さんはそれから一言も話さなかった。




 
 家の前まで送ってもらい降りる間際にもう一度、訊こうとしたけど。まるで切っ先を突き付けてるみたいな横目の視線を向けられただけで。何も云えなくなった。 

 次第に暗闇に溶けていくテールランプをぼんやり見送りながら。頭の中をぐるぐると津田さんの言葉が廻っていた。

 あきらめろって。どういう意味・・・・・・?

「・・・・・・亮ちゃん・・・」

 思わず呟いた。

 言いようのない不安が、頭から自分を飲みこんじゃいそうで。堪えるようにぎゅっと拳を握りしめていた。
 勇気が折れちゃわないように。