ケータイ小説 野いちご

デキる女を脱ぎ捨てさせて

8.罪深い彼

「………ッ。」

 会議で使う資料の準備を手伝って欲しいと言われ、倉林支社長が確認をしている傍らで資料を整えていたら鋭い痛みを感じた。

 紙で手を切ったようだ。

 私よりも早く手をつかんだ倉林支社長に私は目を丸くするしかなかった。
 手の痛さなのか、思わぬ距離の近さからなのか鼓動がうるさくて仕方がない。

「大事な契約書を汚されでもしたら堪らない。
 このまま医務室へ行こう。」

 このまま?
 手を、倉林支社長につかまれたまま?

 言葉は口から出て行ってくれなくて目で訴えてみても彼は私と目を合わせてくれなかった。

「契約書だけ頼む。私のデスクに。
 くれぐれも紛失しないようにしてくれ。」

 近くにいた人にそれだけ告げて医務室へ連れていかれた。


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