ケータイ小説 野いちご

デキる女を脱ぎ捨てさせて

3.イケメンは空気が読めない

「今日、西村さんには会議へ一緒に参加してもらう。
 分からないなりに議事録を取ってくれるかい?」

 夢見心地な出来事から一夜明け、二人の仲が進展……するわけもなく上司と部下なのは何も変わらない。
 もっと言えば雲の上の存在と一般庶民という位置付けも揺るぎない。

「この資料を使うから会議室の机の上に人数分置いて準備も頼むよ。」

 渡された資料はこの前に私が作った資料だった。

 随分と手直しがされているそれは追加で頼まれた覚えがない点から見て、倉林支社長自身で修正したようだった。


 会議に参加して井の中の蛙だったと思い知らされる。
 仕事が出来る…のは、やっぱり知っている範疇の事柄だけ。

 仕事中の倉林支社長は「どうだ。思い知ったか!」と思っていそうなイメージがまだ払拭できなくて、わざと難しい会議に出席させたんじゃ……と裏の裏を考えてしまう。

 その思いを加速させるのはあの資料。

 手直しを頼んでくれないことが、どうしてかものすごくショックだった。


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