ケータイ小説 野いちご

デキる女を脱ぎ捨てさせて

2.意外な彼は

 倉林支社長に気を許してはいけない。
 そのことはすぐに感じ取ることが出来た。

 彼から頼まれた仕事は資料作りだった。
 明日の会議に使いたいからと、彼のラフ図を参考に後は今までの資料でイメージを教えてもらえた。

 パワーポイントにワードにエクセル、CAD図に、電子回路図……パッと見た時は簡単な資料作成だと高を括っていたのに。
 様々なソフトに様々な知識が必要とされる資料は試されているのがよく分かった。

 やってやろうじゃないの。
 どうせ根を上げると思われているんだ。

 彼への対抗心みたいなものが芽生えて俄然やる気になった。
 元、零細企業の庶務を舐めないで欲しい。



「まだ残っていたのかい。」

「!!!!!
 なんだ。倉林支社長。
 ……もう終わります。」

 集中し過ぎていて、人が近づいてきたことにも気づけなかった。
 肩を揺らすと握り拳を口元に当て片眉を上げた倉林支社長に苦笑された。

 苦笑した姿さえも様になるなんて嫌味な人だ。



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