学校を出てひとりになると涙がぶわっと溢れてきた。


武藤くんに振り向いて欲しい、ただその一心でしたけど…こんな方法意味ないよ。


あの武藤くんがあたしに焼きもち焼くわけないし、第一そんな関係でもない。


心配してくれるのは、教科書を借りに来た女の子に対しても同じ。


困った人を放っておけないから…ただ、それだけ。


友達以下のあたしが、それ以上を望むなんて贅沢過ぎるよ。


落ち込みすぎて家に帰る気もおきない。


駅前のベンチに座りぼーっとしている間に日が暮れてきた。


どのぐらいの時間が経ったのかな…。


「待ちぼうけ?ずっとそこにいるけど」


声をかけられハッとして顔を上げると、スーツ姿の見知らぬ男の人が立っていた。