授業中ふと樋口くんの事が視線に入った。




樋口くんは意外にも黒板に書かれていくと同時にノートに書き写していた。




勉強は出来るほうなのかな…?




私も頑張らなくちゃ…。




心の中で“よし、頑張るぞ”と気合を入れて私も黒板に書かれてる文字をノート写した。




授業が終わった。けれど私はあわあわしていた。なぜなら…




授業終わりに先生が「もうすぐテストがあるからな〜みんな勉強しておくように、赤点取ったやつは補習な」そういったのだ。




私はここの高校に入れたのも麗香がつきっきりで一緒に勉強教えてくれて、ギリギリ入れたと言ってもおかしくない。




でもまた、麗香に勉強教えてもらうなんて迷惑だよね。かといって、補習は受けたくないし。




授業中に樋口くんがノートを真面目にとっているのをぱっと思い出し、樋口くんに勉強教えてもらえないか聞いてみることにした。




「樋口くん」




「なに?どうした?」




「勉強得意…?」




「それなりには出来る方だと思うけど」




「私にお勉強を教えてください!!」




腰から曲げて深く頭を下げてそう言った。




「勉強苦手なのか?」




「苦手っていうかなんというか… ほとんど勉強出来ないんです、この学校受験する時も麗香に勉強教えて貰ってやっとって感じで… 」




「そうだったのか、うーん… いいよ」




樋口くんは私の言葉に納得してから少し悩んでその場で答えてくれた。




「えっ、いいの!?」




私は本当に教えてくれるとは思ってなくてびっくりして、つい飛び跳ねてそのまま樋口くんに抱きついてしまった。




「あ…、ごめんっ…!つい嬉しくて」




自分が今何しているのか分かった途端恥ずかしくなり、とっさに離れた。




上半身というか、顔中心に体温が上昇しているのが分かった。顔真っ赤なんだろうな…。




「じゃあ、帰り喫茶店で勉強教えてやるよ」




「どこの喫茶店?昨日行ったとこ?」




「違うよ、俺が良く行くところ」




「そうなんだ?楽しみだなあ」




「常連さんが多くて、本棚があって借りて読むことが出来て雰囲気も良いから好きなんだ」




「そんな所あるんだ…?」




「智里にも教えてない」




「早川君も知らないところなの!?」




「ああ」




「そんなところを私に教えていいの??」




すごい疑問に思った。出会ったばかりの私を、そんな誰にも教えてないような所に連れて勉強教えてくれるなんて驚きが隠せなかった。




「美羽なら…いいよ、ていうか俺が連れていきたいんだ、きっと美羽も気にいると思う」




「わかった、期待してる!」




そんなにいい所なんだ。楽しみだなあ!