二人は何とか遥が予約していた宿屋まで逃げ切り、宿の部屋へと入る。

「いや〜、大変でした。何で私が冷凍睡眠した場所に幽霊さんがあんなにいるんでしょうか?」

「それはお前の一族とかが無理して神殿を作ったからだろ?この神殿に入る前に少し調べてみたが、お前の一族は滅茶苦茶な事をしているぞ。あとお前を追い詰めて実権を手に入れた大臣とかも怨まれていると思うが・・・。取り敢えず、これから先どうするか考えねばならぬな。」

冷静な表情で遥はソフトクリームをペロペロと舐める。遥の好きな味はチョコレート味である。アイスをペロペロしている時にふと思ったのは、なんでソフトクリームにはカスタードクリーム味がないのだろうかという事だ。

冷静な表情であるが、どことなく幸せそうな表情をしている遥にクレアは1つ質問をしてみる。

「その食べ物そんなに美味しいんですか?私も食べて見たいです。今の時代の食べ物を食べて見たいです。」

物欲しそうにソフトクリームを見てくるクレアに遥は危機感を感じた。

「やらんぞ?」

しかし、上目遣いで見てくるクレアに遥はどことなく罪悪感を感じてしまう。

(そういえば、冷凍睡眠から冷めて何も食べていないんだったな。ここで拒めば、人としてどうかと思うし・・・)

結局、遥は屈服。自分という人間の尊厳のために致し方無しに屈服。

「仕方ない・・・。ほら、舌でペロペロと舐めて食べるんだぞ。」

買い置きしていたもう一本のソフトクリーム(チョコレート味)をクレアに手渡す。

クレアは現代の食べ物に恐る恐る口にする。

パクっ・・・と口にした時、クレアの中で何かを感じた。それは昔には無かった「甘味」であったのであろう。余りの甘さと美味さにペロペロと舐めまわす。

「ふっふっふ・・・。どうだ、旨かろう。これが現代の食べ物だ。他にも旨い食べ物はあるぞ。」

「ほ、本当ですか?あ、でもその前に汗を流したいですね。」

そう言えば、遥も汗ベタベタで気持ち悪いと感じていたところだ。

「良かろう。では、お風呂に入ろうではないか!」

どこか楽しげな表情をしてクレアと共にお風呂へと行く。