「若、最近どうかしたんですか?」

「あ?」

奏多に呼び止められたのは、寒い空気にさらされる縁側。

…琴音が目を覚ましてから6ヶ月が過ぎた日だった。

「琴音ちゃん、歩けるようになったんですよ。手を引いたら一緒に歩けるんです」

「そうか…」

そんな情報に正直驚く。

自分の意思で動けない琴音が歩けるようになったなんて、聞いていなかったから…。

奏多は一瞬視線を背けたが、すぐに笑みを貼り付ける。

「若はこれからどこへ?」

「関原の統制だ。何とかまとまりがついてきたからな。もう少しで立て直せる」

「そうですか。…お気を付けて」

「あぁ」

奏多から視線を外し、車に向かう。

やることは山のようにあって、いくら片付けても減る気配がない。

必然と屋敷を開ける日は続いて、寝に帰っているような日が続いている。