「とうとう来たな、夏休みが! 補習のない夏休みが!」

終業式が終わった瞬間、優海が太陽よりも明るい満面の笑みで駆け寄ってきた。

「浮かれすぎて暑いうざい」

と一刀両断して押しのけたものの、そんなことでめげるようなやつではない。

「凪沙とどこ行こう、凪沙と何しよう」

音符マークでもつきそうな浮かれた調子で言うので、釘を刺しておくことにする。

「その前に大会でしょ、遊ぶ暇あったら部活がんばりなよ」
「それはもちろんがんばるさー。そのあと凪沙とデート三昧するんだー」
「勝手に決めんなバカ」

バスケの大会は一週間後の予定だった。

それまでは毎日、午前中は体育館で練習、午後は各自で個人練と、朝から晩までバスケ漬けの生活を送るらしい。

よくやるねえ、青春だね、と帰宅部の私としては感心してしまう。

私は部活もないので、毎日おばあちゃんの手伝いをしたり、たまには真梨や中学時代の友達と遊びに行ったりして、のんびり過ごす予定だ。