土曜の朝なのに、いつもと変わらないぐらいに目が醒めた。
 さすがに休みだし。ベッドの中でうだうだしてみる。
 なんかね。遊佐と出かけるのがやっぱり嬉しいみたいで、たぶん浮かれてるんだろな、あたし。
 週末には会ってるんだけど、一緒に買い物は久しぶりだもんねぇ。寝返り打ちながら思わず顔がにやけてる。

 11時に迎えに来るって言ってたから、洗濯とお風呂掃除くらいは終わらせてぇ。タイムスケジュールを頭ん中で刻む。
 実家にいた時は、ろくに家事なんてしなかったのにね。
 包丁の持ち方から始まって、お米の研ぎ方、味噌汁の作り方、レトルトや冷凍食品の活用術、掃除の順番、洗濯物の干し方。それらをみっちり、瑤子ママに叩き込まれた成果です。

 おかげさまで、コンビニ弁当が主食になるような生活にもならず。レパートリーも少なくて、カンタン手抜き料理しか作れなくても。一応これだって自炊だからね? 
 ・・・ほんとはさ。もっとちゃんと、おばあちゃんと瑤子ママに料理習って、遊佐に手料理食べさせてあげられるぐらいになんなきゃだよ。
 一年経ってようやく一人の生活に慣れたレベルじゃ。まだまだ道のりは・・・遠い。

 不安。焦り。

 遊佐は待っててくれてるハズだけど。
 離れてると気持ちが覚束ない。こんなにも。心細くてしょうがない。

 帰りたい。
 帰れない。
 
 遊佐から出された宿題の、答え合わせが二人で出来る時まで。