舞花ちゃんやリュウくん以外の人と話せたことは私にとって大きなことだった。

翌日の私の心は晴れやかで、いつもよりも顔を上げて歩けている気がする。


舞花ちゃんには「なにかいいことでもあった?」なんて聞かれたけれど、森井くんとはあまり仲が良さそうではなかったので昨日のことは話せなかった。



「そういえば、星夏。委員会大丈夫だった?」

「え、うん」

「本当? 森井になんか嫌なこと言われたりしてない?」


嫌なことなんてなにも言われていない。

首を横に振って否定すると、舞花ちゃんは疑いの眼差しを向けてきた。

どうしたら上手く伝わるのだろう。



「え、星夏なんの委員会入ったの」

私が委員会に入ったことが意外だったのか、リュウくんが驚いた様子で一歩踏み出して私の顔を覗き込んでくる。


「えっと……放送委員。休んでたときに決められちゃったみたいで」

「うわー、災難だなぁ。話すの苦手なのに放送委員なんて大丈夫か?」


心配してくれているリュウくんに大丈夫と頷くと、舞花ちゃんは興奮気味にリュウくんの肩を叩いた。



「大丈夫じゃないわよ。森井と一緒なんだよ」