「ねえ聞いた?」



「なにが?」



「転校生、隣のクラスに来たんだって。」



「へえ。」



「しかも、イケメン。」



「へえ。」



「へえって……。 
 興味ないの?」



「ないね。」



「……そうかい。」



中学の修学旅行。
あれから2年経って。
私は高校2年生になった。


センパイとは別の高校で。
あの日以来、センパイの事を思い出すことはなくなった。


代わりに。あの人の事ばかり思い出す。
覚えているのは横顔くらい。
でも、忘れらなかった。


何回か、告白されたこともあったけど。
そのたびにあの横顔が思い出されて。
全然、消えてくれなかった。


知る由もないのに。
……何も知らないのに。
手探りもできない。どうしようもない。
……もどかしい。