一昨日、優羽は久しぶりに前髪を目と眉の間くらいの長さまで切った。


別に伸ばすことにこだわりはなかったのだが、前髪が長いことで、どこか守られているような気分になっていた。


だけど、カフェでの一件があってから、自分が変わっていっていることにほんの少し自信がついた。

それがまた嬉しくて、急がなくてもいいから、また徐々に自分を良い方向に変えていきたいと思えるようになった。


それで、とりあえずその第一歩が前髪を切ることだった。



「優羽!可愛い!そっちの方が絶対似合うよ!」


「そ、そうかな?ありがと…」



奈々からはかなり好評だった。

そういえば、クラスの普段あまり話さない女子にも「前髪切ったんだね!」と声をかけられた。



「でもあんたさ、こんなに可愛いのに、なんで自信ないの?」


「か、可愛くないよ?美羽ちゃんはめちゃくちゃ可愛いし美人だけど…血は繋がってるはずなんだけどね」



優羽がそう言うと、奈々は「比べる対象がおかしいのよ」と苦笑しながら、菓子パンの袋を破る。

美味しそうに一口かじると、また優羽の方を見た。



「で、新生⋅赤崎優羽の次の目標は?」



優羽はよくぞ聞いてくれたとばかりに、奈々に向かって笑みを浮かべる。