幸せなだけが人生ではない。
理屈だけが真実ではない。
そんな事だけが世界ではない。
流れる時の中で培った想いこそ
自分の世界では幸せを産み出す真実である。

私は目を覚ました。くるみさんはまだ気持ちよさそうに寝ているようだ。
この人はどういう経緯があってこの世界に来たのか、気になるところである。

例えば、自殺願望のある、もしくは自殺した人がこんなに気持ちよさそうに眠るのだろうか。

不安に駆られながら、生きていた元の世界を離れ、しかしながら現実とは思えない今の世界に来たたとしても不安など到底消えるものではないとも思う。

だって生きてるのだから。
正確に言えば生きてるのかさえ分からないのだけど。

そんな事を目覚めのコーヒーを飲みながら考えてると、くるみさんは目を覚ました。

「あ、おはようございます!」
くるみさんは、爽やかな笑顔でそう挨拶をする。

「おはよう。」
私は微笑みながら返した。

少し間を置いて、くるみさんは当然の疑問をぶつけてきた。

「今日っていうか…これから何するんですか?」
そんな事は私も知りたい。
くるみさんに出会う前の数日間はほぼ、散歩してご飯食べて寝るだけの日々だったのだから。

「そうねぇ…何しましょう」
そういって微笑んでみた。
するとくるみさんも釣られて笑う。

「亜希さんっていつここに来たんですか?」
「3日か4日前ぐらいよ」
「え、じゃあそんなに経ってないんですね!」
「まぁね」

ここで気になる経緯を聞いてみることにした。

「くるみさんは、ここに来る前はどうしてたの?」
「んー…。」

明らかに答えづらそうな表情を浮かべた。
聞いてからでは遅いが、まだ知り合って間もない人に過去を語るなどある意味正気ではない気もする。

「あ、答えにくいなら今無理に答えなくても大丈夫、まだ知り合って間もないもんね」

そう言う事しか私には出来ない。
無理に聞いたところで真実とは違う捉え方をするかもしれない。私はそうも思ったのだ。

「なんかごめんなさい。」
くるみさんは、しょんぼりした雰囲気で少し笑って見せた。

「ううん、こちらこそごめんなさい。少しづつお互いのこと知っていこうね」
「はい!ありがとうございます!何か気を使ってもらってばかりですね」

また2人は笑顔になった。