『澪、本当に汐に話していいのかよ。』



トンっと音をたてて雫石のbarの屋根にのる。

仕事は少し前に終わって、俺は服装だけは白羽、澪はbarのオーナー仕様。

ちなみに、中にいる千里はバイトくん仕様だ。

寝そべって夜空を見上げていた澪はふっとその目を閉じた。




「まだ、分かんねぇ。」


『もうすぐ来るぞ。』




口調は本来のもので、澪に余裕がないことがわかる。

迷子……ね。




「汐は強いよ。
きっと、闇に打ち勝てるほどに。

でも…来て欲しくないんだよなぁ。」


『やっぱ、家族だから?』


「それもある。
けど、あの女の子供だろ。

〝ちゃんと血が繋がってるわけじゃねぇ〟んだもん。」