俺はけっこうモテる。

だから女に困ったことはないし、過去に付き合った人数も同級生のヤツらと比べると多いほう。


「敦貴(あつき)ばいばいー」

「あっくん、また明日」

「小田切先輩、さようなら」

ほら、昇降口を出て外を歩くだけで上級生、同級生、下級生が俺に声をかける。


身長は178センチ。顔は塩顔で某アイドルグループの人に似てるとか似てないとか。

性格も性癖も至ってノーマルだし、これと言って欠点は見当たらない。

だから元カノの別れて2か月。 彼女を作ろうと思えばすぐに作れるし、たぶん本気を出せば今日中に可能だ。

なのに、最近の俺はなにかがおかしい。


「痛てて……」

目の前で盛大に転んだのは菅原佑奈(すがわら ゆな)


足元はハイカットスニーカーで背中には大きめのリュック。

高校2年にもなって、でかいぬいぐるみのストラップをつけてたり、髪の毛も今どき珍しいツインテール。


「あれ、小田切くんこんにちは」

わりと臨機応変に相手に合わせられる俺は何故かこういう不思議系な女とは相性が悪いというか、近づかないようにしてる。