戌の刻

今日の予定が台無しじゃねーかよ。
まったく……今日は早めに帰ってゲーム三昧だと思って朝から楽しみにしてたのに…。

どっからだ、どっから俺の予定が狂った?
少なくとも……少なくともだ、俺が中学の時と同様陰キャラだったら、こんなクソつまんねー肝試しだの度胸試しだのに誘われずに済んだのによ。

最悪だ……。でも唯一の喜びは……。

「雄二、あんた随分浮かない顔してんね。ひょっとして帰りたい?」

密かに片思いをしている幼馴染の悠莉が俺に言った。こいつも俺と同じく無理に誘われたらしく、俺にとっては唯一の癒しと言っていいだろう。

「別に……。」

俺はわざとらしく拗ねた感じを演出しながら呟いた。