『みよ……澪夜…』


透き通るような女の人の声。


その声が私の意識をだんだんとハッキリさせていく。


ん……これは……また、夢…?


いつの間にか眠っていたのか…目を開くと


今私の前に広がっているのは
《闇》そのものだった。


どこを見渡しても何も見えないような
黒しかない世界…。


怖がるようなこの景色だけど


私は何故か恐怖を抱かなかった。


なんでだろう……
なんか、懐かしいような…
そんな感じだ。


『澪夜…ごめんなさい、ね…』


「うわっ!?」


真っ暗な闇の中、女の人の声が
再び響き、驚いて反応してしまった。


澪夜…って、私の名前をこの人は
知ってるの?


「だ、だれ……?」


こんなふうに姿の見えないなにかに
声をかけるなんて普通は出来ないだろうな。


でも私の中に怖いという気持ちは一切
無かった。


この人は私になにかを伝えようとしてる…?


『あの子が…媛乃がまた過ちを犯した。
依子(よりこ)さんが止めてるのに
もう歯止めが効かなくなってるの…!」