揺れているピンク色の桜。頑張って枝に貼りつこうとするその花びらはとても美しく横を通る誰もが足を止めて見とれてしまうようだった。しかし僕はどこか。。。どこか。。。その花びらが偽物のように感じれた。それどころか道行く人も僕が立っている道路も本物じゃない何かに感じれた。そしてその何かが僕を監視し続けているような感じがしてしょうがなく毎日自分の気持ちが押しつぶされそうになってしまうようだった。
  

 大きく目覚まし時計の音が部屋中に響く。その時の時刻は8時であり目覚まし時計があった場所は男が寝ていた寝床の上。しかしその目覚まし時計は男が寝ていることも何も考えずずっと鳴り続る。その音は高らかに響き男の耳の奥まで届く。そうすると男はその音に気付いたのか起き上がりまではしないが被っていた布団の先端だけを剥ぎ手を伸ばして目覚まし時計を止めた。その男はほとんど動かずにその目覚まし時計の音を止めまた睡眠へと走って行く男。
 「俺はこんな嘘っぱちな世界には起きない。永遠に寝させてくれ。ふふっ」
 男は二度目の睡眠に入る直前こんな捨て事を言い剥いでいた先端の布団の部分を戻し頭を枕の上に置き睡眠を始める。
 男が言い放った事は実際に言っているのか二度寝の言い訳のために行っているのかわからないまま鼾(いびき)をかきながら深~い眠りについていく。
 しかし眠りについたその時だった。急に扉が思いっきり開けられドシンッという心臓の底までに響くような音がしびっくりしたのか深~い睡眠に走りかけていた男の目が覚めてしまう。男は目を限界の状態まで開け扉の方向を確認する。
 「しゅんすけ~~ おはよう 朝じゃから起きておくれ~~」
 その声の主はとても小柄な腰の曲がってしまっている老人であった。性別は見るからに男なのだが自分では女になりたかったと言っている不思議者だである。しかしその扉の開け方は全く自分を女だと言い張る老人のやり方とは思えない。
 「ビックしした! なんで毎日そんな乱暴な開け方をするんだよ。腰爺(こしじい)!? また壁の穴が深まったじゃないか。腰爺のおかげで俺の部屋は半壊しているよ。掃除の時だって角に掃除機当ててボロボロ、壁の破片が落ちてきているんだよ。」
 そうするとしゅんすけは腰爺が響かせたドアの音についてビックリいる。腰爺は今は見た目はか弱いが底力は計り知れないほどなのかもしれない。 
 ドアを開ける時だって加減をしながらもあそこまでも勢いがある。それに腰爺は元々キコウ帝国陸軍の特殊部隊隊長だったのだ。元々の身長も高いとは言い難かったが腕の筋肉や足の筋肉の付き方を見れば一目瞭然で何か特殊な筋肉を使う仕事していたかはわかる。
 しかし第3次世界大戦後中に腰を曲げるような戦い方が多く腰を曲げ痛めてしまったそうなのだ。戦後は日本から補助金をもらいながら暮らしている。
 「いや~~ すまぬのう この筋肉のせいか加減をしても老けても女の心を持っても力が有り余り物を壊してしまうのじゃ。本当に嫌なものじゃ。努力をしても無理なものは無理じゃな」 
 腰爺は確かに自分の行動に反省はしているが同じくらいに努力もしているのだ。しかし筋肉というのは下積みが出来すぎていてある程度の筋肉を使ってしまっていたら減少は難しい。
 「あっ いやっ ごめん腰爺 そこまでの悪気があって言ったわけでは・・・ いつも ありがとうね。」
 腰爺の思いがけな返しに戸惑ったしゅんすけは弱点を突っつかれたのだ。しゅんすけは温厚な性格なため攻め立てても逆に攻められてしまったらダメージを食らってしまう。
 「まー いい!さ~ 起きて朝食の時間じゃぞ。 次また寝たら首をへし折るから覚悟せーい」
 腰爺は確かにふやけている老人ではあるが元軍人なため格闘技は得意とするのでしゅんすけの首をへし折るぐらいは簡単なこと。
 「ぐはっ すぐ行きます。すいませーーーーーーーん」
 しゅんすけは腰爺が発言した事に過剰反応してしまったのだ。そしてしゅんすけは腰爺が言った「首をへし折る」に反応してしまい「ぐはっ」と叫んでしまったのだ。
 そして体を捻らせ右足を上げ手を振るうような仕草に入り制服を手に取り最高時速で下の階へ駆けて行った。その途中で腰爺に謝り目に涙を浮かばせていた。
 「おはよう しゅんすけ 朝ごはんは出来ているよ。学校には遅刻しないでね。いいね」
 階段を使い下に駆けて行った直後温厚そうな顔をしている女の人がしゅんすけに声を掛けたのだ。その女の人は笑顔になり目を開け学校に遅刻しまいと助言しまた自分の仕事に戻ったのだ。その女の人は階段から少し離れてるキッチンに立ってフライパンを片手に話していたのだ。
 「あっ おはよう 母さん! 今日の朝食は何? てかなんでまた腰爺が俺を起こしにきているの?! 母さんが起しに来てね!! 明日から」
 しゅんすけは手を裾に通しながら片足ををズボンに入れてもう片方の足で全身を支えよろつきながら挨拶をし腰爺のことで文句も言いつつ朝食の方にも眼が言ってしまったのだ。
 「おはよう~~~~ 今日の朝食は白いご飯とソーセージそれに味噌汁と目玉焼きだよ。 あとお父さんの生き甲斐だけは取れないよ。 ごめんね しゅんすけ。。。」
 しゅんすけの母と思われる女は挨拶を返し手際よく質問全てを返したのだ。しかし竹嶋家ではこういう出来事が日常茶飯事に起きているのだ。
 「いただきまーーーーーす。 ジュルジュル あっ もう時間がやべえ! 茶碗持って行くわ」
 しゅんすけは味噌汁を急ぎめにすすり時計の針を見て時間が迫ってくることを確認し腰をかけていた椅子から立ち上がり茶碗を片手に取ってお皿に乗っていた目玉焼きとソーセージを白いご飯にのせ走り出したのだ。
 「いってきまーーーーーーふ。」
 「気をつけてね。お茶碗は持って帰ってきてね。いってらっしゃーーーーーい!」
 しゅんすけは玄関まで走っていき靴を急いで履いてドアを肩で押しはしを右手に持ち茶碗を左手に持ち口をふちに当ててご飯を頬張りかけて行ったのだ。
 「今日は大丈夫だな。あと5分。学校まで2キロ。茶碗とはしで両手がふさげれているから4分はかかるかな。まー いつもは20秒しかあまりないから1分あれば余裕かな。」