連れられた先はバーのようなこぢんまりとしたお洒落なお店だった。


「……俺の、集うとこだ。
前にも言ったと思うけど、飛澤ンとこの副総長が逃亡してんだよ。
…もし、実衣が危険な目に遭ったら助けて貰えるように紹介しとく」

「危険な目…」

「…てめぇ、ぼーっとしてることが多いからな」


何気に酷いことを言われた気がするけど、今更気にしても仕方が無い。
それにあたし自身、確かにぼんやりしていることが多いと思う。


テルくんが扉に手を伸ばすと、緊張で頭がぐるぐるしてきた。

だってこの扉の奥には、テルくんの仲間である「暴走族」の人達が沢山いるのだ。

元々、不良とかチャラい人が苦手なあたしは震える手をテルくんに伸ばすと、そのまま握り締められた。