晴れている日の夜が好き。
星がハッキリと見えるから。
星を見ながら帰宅する時間が好き。
辛かった事とか忘れることが出来るから。

あと……。

小さい頃の楽しかった思い出を思い出すことが出来るから。



『お兄ちゃん待ってー』
『早く来んといい場所で見れん』
『樹、待ってあげよう。おいで、梢ちゃん』
『ありがとう。あ、見て。綺麗な三角形』


この頃の一番。
一番大好きな…そして大切な思い出。
祖母の家の近所に住んでいた子と、兄とよく星が見える場所に行っていた時。
その日は、今日みたいに雲一つない夜空で、星が綺麗に見えた。
田舎だった祖母の家は周辺の空は、今よりもずっと良く見えた。


『……きれい』


それから何年か経って、互いに大きくなってからは、3人で星を見に行くことはなくなった。
少し寂しいが、大きくなるのはこういう事なんだ…と理由をつけて諦めた。
それでも少し心残りがあり、帰宅中には昔を思い出して星を見ながら帰る。


高校生になった今でも。