放課後、信じられないことが起こった。


男「付き合ってほしい。」


目の前にいる1人の男が言った。



服装をダラっと着崩し、両手をズボンのポケットに突っ込んでいる。

片膝を曲げ、だらしなく立っているうえ、表情を見ても何を考えているのか全くわからない。

これが、彼に対する私の第一印象となった。



(ありえない‼︎ なんで、私⁉︎)

そんな事を思っていても平然を装いながら、

「なんで?」

と、静かに聞き返した。

男「、、、気になったから。」

たったそれだけを独り言をつぶやくように、それでもはっきりと答えた男。


それが、今、目の前にいる男で、隣のクラスである今崎 冬哉(イマザキ トウヤ)だ。


彼は、学校内では、そこそこ有名な男だ。

良い意味ではなく、、。



私は迷った。

父親や兄の事もあり、男が嫌いになってきている反面、こんな面倒ごとから助けてほしいとも思っている。

だが、この男のことだ。

どうせ、遊びか何かで、私に近づいたんだろう。

見た目も、しっかりしているとは言いがたいし、、、。

でも、家にいて暴力を振るわれるよりは、いいかもしれない。

迷いに迷った私が出した答えは、

「、、、いいよ。」

OKの返事を出した。

「ただし、」

と、数秒の間を置いて言葉を続ける。

今崎「え?」

彼は、不意を突かれたような気の抜けた声を出した。

そんな彼を無視し、

「1つだけ、条件があるの。」

と、話し続ける。

今崎「、、、なんだよ。」


「絶対に、浮気とか、二股とかしないで。」


母親の事もあるが、裏切りを1番に恐れた私は、彼にこの条件を出した。

彼は、面倒臭そうな渋い顔をして、

今崎「はぁ〜、、、分かったよ。」

と、ため息をしながら承諾した。



ーーーズキっ



と、胸が痛んだ。



ため息つくくらいなら、私みたいな女に声なんてかけなければよかったのに、、、。




こうして、私は、今崎 冬哉の彼女となった。




この決断を後悔することになるのは、まだ少し先の話だ。