昨日のように憶えている5年前。


俺の会社には、いつもどおり新人社員が何人かやってきて、俺は前々から言われていたひとりの女の子の指導係として割り当てられた。


名前は、南野千。



胸上の栗色の髪と、ぱっちりした瞳が特徴的な可愛らしい女の子。



「み、南野千です、よろしくお願いします!」


「うん、よろしく。席は隣ね。わかんねーことあったら、遠慮なく言って」


「あ、はい」



椅子がふかふかだ、と喜んだり、いろんな先輩の補佐に戸惑ったり、強面の部長の怯えていたり。


表情をころころ変える彼女に惹かれていた。



決定的なことは、俺が風邪をひいたときのこと。