プルルル、プルルル


胸のポケットから鳴り響いた着信音。

その時点で、予想はついた。

恐る恐るケータイの画面を開くと


あぁ、やっぱり。


『司...っ』


小さい頃から好きで好きで仕方がない女の子。


もう何度羽奈の苦しい声を聞いたか。


その度に俺は羽奈のもとへ駆けつけては

羽奈の気が済むまで俺の胸を貸して。


俺のことを一度だって男として見たことないくせに

肝心な時に俺を頼るんだ。


ほんと、ずるい女。