彼女と初めて会ったのは、高2の秋。
彼女は親の都合で大阪にやってきた。
憧れのクラスメイト。
文武両道、容姿端麗。
でも、誰に対しても冷たくて、誰かと仲良くしているところなんて見たことなくて、どこか怖かった。
でも、そんなところもなんだか綺麗で、俺は見てるだけで精一杯。
絶対相手になんてされないことくらい分かってるくせに、もしかしたら…なんて考えてみたりもしちゃって…。
女子は皆、彼女を妬んでて、男子は皆、彼女に見惚れてて、当の本人はそんなこと当たり前よ!っとでも言いたげに澄ましてみせた。
だけど、たまに見せる彼女の憂いを帯びた横顔には、いつもの気高さなんてなくて、ただ、指を触れればすぐに壊れてしまいそうなほど儚いように感じた。
…俺は彼女のそんな一面も、いつもの冷たい一面も、もっと誰も見たことない一面も、もっと…もっと見たい。
独り占めしたい。
そうして俺は…彼女に恋をした。