「璃乃?
何書いてんだ?」

「婚姻届の証人欄だよ」

「あーそうか…結婚するんだな」





茶色い用紙には私のよく知る、大切な2人の名前が書いてある。


新しい家族が、幸せが増える。





「そうなの!月星も後で書いてね」

「おう。あいつには頭が上がらねぇからな」

「今のあたしたちがいるのは彼のおかげだもんね」

「めいっぱいお祝いしてやらなきゃな!
リナもおめかしして一緒に行くんだぞ〜」

「うん!リナもこうちゃんとゆーちゃんお祝いする!」





幼稚園に通うようになった娘のリナが嬉しそうにジャンプをするのと同時に、耳のあたりで2つに結いた髪がぴょこぴょこと跳ねる。





「リナが1番お気に入りのあの可愛いやつ着ていこうね!」

「うん!」





私は月星と出会って人生が変わった。

ううん。こうなる運命だったのかも。


好きになって、好きになってもらえて。


たくさんたくさん回り道はしたかもしれないけど、それでも何度やり直せたって同じ結末を選ぶ。



私が振り回してしまった彼は、どうだろう。

彼の物語には、そこには私のページもあるのかな。

私はね、ちゃんとあるよ。


幸大くんがいてくれたからこそ今の私の物語がある。


彼は、今思ってもとても大きな存在だった。


それに変わりはないから。