王子の間を出て訓練所に向かった。

クレイグ騎士官殿や副騎士長紅蓮殿や、他近衛騎士の方々が王子の身を案ずる言葉を投げかけられた。

近衛騎士の方々は皆、朔の日に、王子が命懸けで宮殿を、皇族を、宮中内の大勢の命を謀叛から救われたことを知っているのだと思った。

王子の体から放たれた力の意味も理解しているのだと思った。

「あんなにスゴい力を使って、もう鍛錬に参加できるなんて。若いっていいわね」

王女桔梗さまの護衛騎士を務めている梨花さまが、明るい声で言った。

「そんなに直ぐ、動いて王子のお身体は大丈夫なのか」

紅蓮殿は首を傾げられ、わたしの顔を見据えた。

「ご無理をなさらなければよいがな」

ポツリと付け加えた言葉に、秘薬のことを話してしまったことを後悔した。