ケータイ小説 野いちご

星の涙

第五章 亀裂

雑誌『look at me』が発売される前日には、横澤さんから見本誌が送ってこられて、わたしは真っ先にカルチャー特集の自分のインスタグラムがのっているページを開いた。

なんか……なんて言っていいのかわからないけど……。

とにかく、すごい。

事前にゲラで見ているものの、ちゃんと雑誌になった状態で見る自分のインスタグラムは、なんだかべつものみたいだった。

もちろん発売された当日には近所の本屋さんに買いに行った。

もうすでに手元にあるけれど、自分のお金でちゃんと買いたかったのだ。

そして、驚くことにそれまで3000弱だったフォロワーが発売日から数日で3500まで増えた。

『雑誌で見ました! 』

『すごくすてきな写真ばかりですね』

とか、コメントを残して行く人も増えた。

そのほとんどが好意的だった。わたしはコメントひとつひとつに、返事をした。

『ありがとうございます』

『うれしいです』

『よろしくお願いします』。

短い言葉でも、ちゃんと気持ちを返していこうと思っていた。
なんだか一気に世界が広がっていく気がして、わくわくした。

取材をうけることに不安を感じたのが、嘘のようだった。
いままで何をこわがってきたんだろう。

わたしのインスタグラムを好きだと言ってくれる人と一緒に、居心地のいい場所を作って行こうと思えた。

この場所が充実すればするほど、わたしは強くなれる。

自分に自信をもって、堂々と生きていける。そんな気がしていた。

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