初めて彼、荻野伸二と会ったのは、6年前、彼が新入社員として会社にやって来た時だった。

最近では、まれに見る優秀な新入社員だからと言われて、私は、教育係として彼の担当を任された。

当然、会社の上の方からも
「我が社のホープだから、営業マンとして、しっかり一人前になるように鍛えて」と言われていた。


彼は、背が高くすらっとして、容姿も整っている。

その場にいるだけで人目を引いた。

何でもそつなくこなす彼は、新人として入って来た当時から目立つ存在だった。

上も期待してるだけあって、いろんなことに気が付くし、もちろん理解も早い。


けど、実際に彼が来てみると、優秀とはなんだと考えさせられた。

優秀な新入社員だからと言って、教育するのが楽なわけではない。
私は、彼によって身をもって知らされた。