ーー11月6日。 午前2時05分。 お母さんがすごい勢いで部屋のドアを叩いた。 「るり、お父さんがーー!」 眠りが浅かったこともあって、すぐに飛び起きたのを覚えてる。 「お父さんが……!」 涙混じりの声が、今も耳から離れない。 慌てて1階に下りると、妹が泣きながらお父さんを呼んでいた。 だけどお父さんは目を閉じたまま、その声に反応することはなくーー。 家族に見守られながら、静かに息を引き取った。