そろそろ公園から離れられただろうと足を止めた私の目に、民家とは違う建物が見えた。

大きな看板には銭湯と書いてあるが、営業しているような気配はない。

それでも、ここにたどり着くまでにあった民家とは比べ物にならないくらい綺麗だった。

この銭湯にも人はいないのだろうか。

「すみませーん、誰か居ませんか?」

入り口を開け、中に向かって呼びかけるが返事はない。

靴箱にはどれも鍵がついたままで、一目で客がいないのが伺えた。

やはり営業していないのだろうか。

一つ一つ鍵が付いているのを確認しながら見ていくと、一番端に鍵が付いていない靴箱があるのを発見した。

明らかに使用中だ。

もしかしたら従業員か誰かがいるかもしれない。

私は期待を込めて中に入った。