闇色に染まった空の下、怒りや憎しみが溢れかえる、人気のない大通り。


不良ばかりが集まるこの場所に、突然響いた低い声。


それは、ずっと聞いていたくなるような温かみのある声だった。




「お前ら、パトロールに何時間かけてんだ」




細い路地から出てきたのは、月の光によってうっすらと赤色が浮かぶ黒い髪をした綺麗な男だった。


背の高い整った顔立ちのその人は、恭弥という人と蜜という人にそう言うと、小さくため息を吐いた。


そこにいるだけで、圧倒的な存在感を放っている黒髪の男。



なんとなく、わかってしまった。


あぁ、きっとあの人こそが神雷の総長なんだ、と。



“最強の神雷”という看板を背負って、周りからの憧れも殺気も受けながら、闇の世界のトップに立っている人。



でも、どうしてだろう。


あの人のことをすごいと思うのに、それ以上におぞましいと感じるなんて。