私は決めたんだ。

どうせ死ぬなら魔界に行って、アーラと共に生きると。



もう迷いは無い。



「おいっ」



靴箱の中にあった大量の砂を取り除いていると、背後から声をかけられた。



男の割には比較的高めのこの声は確か……

「垣内くん?」

砂にまみれたスリッパ片手に振り返ると、眩い金髪の垣内くんと目が合った。



わぁ……垣内くんから話しかけられるなんて。

こんな珍しいことってある?



なに?

そう聞き返すよりも先に、垣内くんが口を開いた。



「最近、黒羽とよく一緒にいるみてぇだけど。アンタ、もやしの彼女じゃなかったのかよ」

「えっ……」



もやし、なんて呼び方久しぶりに聞いたよ。

田村くんと園山くんが居なくなって以来かもしれない。



「違う……けど」

「はぁ?だってアンタら付き合ってたんだろ?」



それも……久しぶりに聞かれたなぁ。

次咲くんと付き合ってるだなんて噂、もうほとんど耳にしなくなったから。



逆に、別れたって噂は流れているけどね。