待ち合わせは私たちの家の中間地点の駅の改札内。

時間は5時45分。問題がなければ10分で遊園地に着く。


だけど私は、5時からここに立っている。

楽しみすぎてそわそわして、家にいられなかったから。


背中の真ん中に届く髪は念入りにブラッシングして、上半分を編み込みにして、キラキラした石がついたゴムでまとめた。


ワンピースは上品なネイビーの膝丈。低めのウェッジソールのサンダルは赤で、斜めがけバッグと同じ色。全部、お母さんに買ってもらったものだ。


昨日のお母さんは、やっぱり変だった。


私にたくさん洋服を買ってくれたけど、その倍、お母さんもお洋服や帽子を買って、着物まで仕立てていた。


もともとお嬢様育ちで、お買い物が好きな人だけど、久しぶりだったから、なんだかあっけにとられてしまった。


しかも、今日のアリバイ作りのために予備校で自習するなんて嘘をつかなくても、お母さんも急な仕事が入ったとかで、帰ってくるのは深夜になるという。


さらにもしかしたら帰れないかもしれないと言われて、内心ガッツポーズをしたのは内緒……。