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放課後。


部活動を終えた私は、校門の前でレンを待っていた。

レンが自分から朝に言ってくれた約束を覚えているならば、彼は此処にやって来るはずだからだ。

「あー、緊張してきた……」

部室で制汗剤を体中に振り撒いてきたから、汗臭くはないよね。

髪もちゃんとクシでといたし。

よし、大丈夫。自信を持ってレンと喋るんだ。


緊張と興奮で昂ぶっている私の側を、部活動を終えた生徒達が過ぎ去ってゆく。

何度もその中にレンの姿を探すけれど、まだ見つけれていない。

どうやら部活が長引いている様子だ。

「あ〜、もうちょっと遅くに部室を出て来れば良かったかも」

薄暗い校門の前で、寒さと緊張でかじかんだ手の平を擦り合わせる。

......なんか、待たされる方って、待たす方よりもドキドキするよね。


そんなことを考えていると。

「おー、アイ。いたいた」


既に暗くなり始めているせっかちな夕暮れの中、遠くから私に近付く人影が見えた。


あれは......

「え、タケ? 」