【龍】




俺…




意気地なし。





一度逃げられたからって、怖くてもう近付けない。






気まずいまま、何日も過ぎた。


お互い明らかに意識してるのに…







モヤモヤした気持ちのある日、


帰り道、ゆかりを見つけた。





前を歩くゆかりがゆっくりと歩いていた。





その時、



空から雨が降ってきた。






雨に気付いたゆかりは、空を見上げて

少し速度を上げた。





だんだん強くなる雨。





俺は、走り出した。




「これ、使って!!」




俺はゆかりに置いついて、鞄の中に入ってたタオルを投げた。




ゆかりの頭にフワ~と乗っかったタオルが、ゆかりの片目を隠す。




「あ・・・ありがとう!」



ゆかりが笑ってくれたことが嬉しくて、俺はニヤけながら家まで走った。


空には、今にも虹が出そうだったが、俺の目には見えなかった。