☆エルside☆






「うわー!うわーうわーうわー!!」


「うるさいわよ……。
あなたうわーしか言えないの?」


「だってだって……お嬢様ッ!!」




ただ木に登ったぐらいでうるさいんだから。

わたしは溜息(ためいき)をつき枝から下り無事着地を決める。




「お嬢様!ご無事でしたか!!」


「ご無事も何も…あなたの方が怖いわ」




涙を浮かべながらわたしが無事木を下りることが出来たことに安堵する彼女。

家に仕えるメイドの1人だけど…こんなに心配性とは思わなかった。

今度からこのメイドの前では木に登らないようわたしは誓った。





「だってだって本当に心配だったんです!
だってお嬢様が怪我したら……!」


「大袈裟よ。

わたしはずっとこの家で育ってきたから、この木とも友達なの。
何度も上って下りてを繰り返して来ているんだから」


「お…おおおお嬢様!
何度も上って下りてを繰り返して来たなど…何と危ないことを!!」


「…………」





慣れているのにと言ったら

“慣れるほど上ったのですか!?”とまたうるさくなりそうなので、

わたしは何も言わずただ溜息をついた。