「はあ!? 理想が現れた?」


「そうなのよ!! まさに私の理想を具現化した人が!!」


次の日。

早速、朝一番に昨日のことを報告した泉美に、百合は唖然としながら呟いた。


「まさか……ノンフレームで知的で大人っぽくて一歩引いた魅力的で優しそうな人なんて………いるわけないと思ってたけど…」


「それがいたのよ!!」


普段から泉美が言っている理想像をブツブツと呟く百合に、泉美は返す。


「ほんっとうにかっこよかったんだから………」


思い出してもじわじわと頬が赤くなっていく泉美を見て、百合は「これはまじだ…」と思う。


「……ま、あんたがいいならいいんだけどね。応援するから、頑張って!」


「うぇ!? がが、頑張って…って何を!?」


百合の言葉に激しく動揺する泉美。


「何って……お近づきになれるように……?」


「お、おおおおお近づき……!?///」


顔を真っ赤にしてパニックになる泉美を、百合は呆れたような目で見つめる。


「………あんたまさか、見てるだけでいいとか、目の保養とか思ってたんじゃないでしょうね?」


「だだ、だって! 別に、かっこいいと思っただけで! ……何も、知らないし…」


「何甘っちょろいこと言ってんのよ!!」


百合の目が突然くわっと見開かれ、泉美の頬がひきつる。


「いい!? その人を逃したら、これから先、一生あんたの理想の男なんて現れないと思いなさい!」


「えぇ!? そ、そこまで…」


「あんたの理想像をもう一度探そうと思ったら、世界旅行するハメになるわよ!」


真面目な顔でビシッと指さす百合に、泉美は笑うしかない。


「何も今すぐ告白しろとは言わないわ。……ただ、気になるならアプローチするっきゃないでしょう!!!!!」


「は、はいっっっ!!!」