目が覚めると俺は公園らしきところのベンチの上に転んでいた。恐らくクレアが危険が少ないところに転送するように配慮してくれたのだろう。

俺は周りを見渡す。この公園らしきところはベンチもあれば滑り台もブランコもあるという、俺達が住んでいた世界とあまり変わらない。とりあえず町に行ってここがどこの国なのか知る必要がある。・・・がその前に一人忘れている気がする。

「海里はどこだ!?」

そうだ、海里はどこにいるんだ?アイツも一緒にこの世界に来ているから俺の近くに転送されているはずだ。そう思い俺は周りをキョロキョロして海里を探す。

「何キョロキョロしてんの?」

・・・が、海里はすぐに俺の後ろから現れた。  

「お前何処に行っていたんだ?心配していたんぞ」

「どこって、私はアンタより早く目覚めたからクレアに渡されたこの世界の服に着替えて来たのよ。ついでにこの国の事も少し調べてきたわよ」

俺は海里に言われて初めて気がついた。よく見ると海里は動き安いドレス?っぽい服に着替えていた。  

「随分と豪華な服だな・・・それで町を歩くのか?」

「何よ?私は帝悪の次期社長で世界の覇王の伊藤海里よ!この服は世界の覇王に相応しい私の為にわざわざクレアが用意してくれたドレスなの!意外と動きやすいし貴族っぽさも出ているしなかなか良いわ」


だから俺達は死んでるから『帝悪』とか『世界の覇王』なんか関係ねぇよ!・・・と言おうと思ったけど話が通じそうに無いから黙っておく事にした。

「ところでこの国について何か分かったのか?」

俺がそう言うと海里が俺の鞄から服を取り出して渡す。

「その前に服着替えなさい。さっき町を少し歩いたけどアンタのその服じゃあ間違いなく怪しまれるわよ。前住んでいた世界とこの世界では全然服が違うわ」

「そうか・・・分かった」

俺は渡された服を持って公園らしきところで着替えるところを探す。