「ねぇねぇ、今日面白いゲームやるんだけど」

退屈な数学の授業が終わって休み時間。私と美保の元に長谷川沙織がやってきた。

「なんのゲーム?」

先に反応したのは美保だった。

私はあのマラソン以来なんとなくモヤッとした気持ちが残っているけど、それでも話しかけられたら普通に話すし下ネタの話しにだって愛想笑いしてる。

沙織と美保は前から仲良しでよく遊びに行ったりプリクラにも写っているほど。


「4組の秀(ひで)いるじゃん?今日の放課後、橋本に告ってOK貰えるかどうかのゲーム」

4組の秀って……あの加藤秀樹か。

チャラいし誰にでも話しかけるしナルシストだし、たまに「あかりちゃん」とか呼んでくるから私は苦手。

「加藤君って橋本さんの事好きだったんだ」

私がそう言うと沙織は突然笑いだした。

「ちょ、なに言ってんの~!あかりってもしかして天然?まじウケるんだけど」

美保を見ると何故か美保も笑っていて、きっと的外れな事を言ってしまったんだと分かった。

「橋本ってさ、前に秀がからかって壁ドンしたら真っ赤になった事あんの。だから秀が告ったらどんな反応するかなって」

相変わらずひどい事するな…と思いつつも私は何も言えない。