そして、月日が流れるのはあっという間で、学園祭まで残り1週間になろうとしていた。


岡本も元気なのがさらに元気になって、教室で常に岡本の明るい声が聞こえるようになった。



夏休み明けのテストも無事、みんな赤点をとることなく、思う存分、学園祭を楽しむことができる。



俺は、担任に紹介された学校のことを時間があれば調べるようになっていた。


まさか自分が進学すると思ってなかったし、担任から進められるとも思ってなかった。


望みがあるのなら、頑張りたい。


そんなことを思うようになっていた。


半年前の自分は考えてもいないだろう。



「黒田くん!ガムテープってもうなかったっけ?」


岡本にそう聞かれ慌てて、ガムテープを探す。


「飾り付けの用紙ももうないんだけど」



材料が足りない。



買い出しに行かないとだ。


「買い出し、行こっか」

俺の気持ちを察したみたいに、岡本がそういう。



「あぁ」


俺たちは、2人で買い出しに向かった。



学園祭の出し物は、岡本がやりたがってたたこ焼きに決まり、クラスの雰囲気もだいぶ良くなった。


相沢も、他の女子と普通に絡めるようになったし、俺も岡本もクラスから認められつつあった。




「楽しみだねー!学園祭!!」

外に出て、岡本が笑顔でそういう。


「あぁ。岡本はさー、進学とか考えてるの?」

「…黒田くんがそんなこと聞くとか似合わないなー!!!」
と笑いながらそういう岡本。


「うるせーよ。どーなんだよ」


「秘密〜〜♪」


「なんでだよ」


「気になるの?」

意地悪っぽくそう聞く岡本。


「別に」


「ふーん。黒田くんは?順調?大学のこと」

「まぁーね。担任から色々資料もらったり自分で調べたり。一応ちゃんと勉強もしてっから」

「へー。半年前とは正反対だ」


「自分が1番驚いてる」

「良かったじゃん。受かってよ、絶対」


「当たり前だろ。ここまできたら絶対、学園祭も成功させて、大学も合格する」

「今の黒田くん、カッコいい!もっかい同じこと言って!」

「はー?やだよ」

「もっかいもっかい!」

「うるせーよ!ちょっとバカにしたろ」

「えへへ。あ!」

岡本が空を見上げた。


その仕草はずっと変わらない。


「今日の天気、すごくいいよ!」

「な」

俺も一緒に空を見上げる。



「…かな…」

岡本が何かつぶやいた。

「なんか言ったか?」

「何にも!!!」



笑顔でそういう岡本。


「ほら、早く買わないと怒られちゃうよ!」

そう手を引っ張る彼女に。


好きが積もる。